社長通信(Never Ending Story) vol.29

  • 社長通信

みなさん、こんにちは!
本日も【社長通信】をお届け♪

~遠くをはかる~

私が子どものころは、
通っていた小学校にある人物の石像がありました。
薪木を背中に担ぎ、
本を読みながら歩いている少年の像です。
いまでもあるのでしょうか?
その名を二宮尊徳といいます。
通称である二宮金次郎の方が
馴染みがあるかもしれません。
それにしてもなぜ、小学校にあったのでしょうか。

余談ですが、
石像姿の彼が持っている本は
『大学』という中国の古典であり、
いまでいう道徳の教科書です。
『大学』は「なぜそもそも学問が必要なのか?」
「私たちはなぜ学ぶ必要があるのか?」
をテーマにした本です。
人には誰もが明徳(生まれ持った優しい心、
思いやりの心、人の幸せを願う心)が備わっている。
学問を通じてそれを発揮し、
また家庭を築き、そして社会で活躍することで、
国中の誰もが幸せになれる。
『大学』にはこのようなことが書かれています。
当時は、学問といえば道徳を指しました。

尊徳は農政家であり、
経世家であり、思想家でした。
江戸時代後期に
いまの神奈川県小田原市の農家に生まれ、
荒廃した農村の復興活動にその生涯を捧げました。
彼が支援した村の数は500とも600とも言われ、
その実績によって徳川幕府からスカウトされ、
最後は幕臣になりました。
その行動の根幹にあったのは、
「報徳思想」と呼ばれる独自の思想・信念です。
報徳思想はまさに
「道徳」と「経済」の融和がテーマであり、
彼の生涯はこれを証明するためにあったと
言ってもいいのかもしれません。

彼はこんな言葉も遺しています。

「遠くをはかる者は富み、
近くをはかる者は貧す。
それ遠くをはかる者は、
百年のために杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においてをや。
ゆえに富有なり。
近くをはかる者は、
春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず。
唯眼前の利に迷うて、
まかずして取り植えずして刈り取る事のみ目につく。
故に貧窮す。」

私なりに意訳してみます。

「未来を考える人は豊かになり、
今しか考えない人は貧しくなる。
考えてみなさい。
未来を考える人は100年後を見据えて、
いま杉の苗を植えるでしょう。
ましてや、春に種を蒔いて、
秋に収穫することは当然と考えます。
だから豊かになります。
今しか考えない人は、
春に種を蒔いて、
秋に収穫することなんて待ちきれないと考えて、
種蒔きさえしません。
ただ目の前の10円に惑わされて、
蒔かずして得ようとし、
植えずして刈り取ることだけ考えています。
だから貧しいのです。」

当たり前ですが当時は7つの習慣も、
ましてや第2領域という言葉も存在しません。
しかし、尊徳が言っている「遠くをはかる」とは、
そのまま第2の習慣「最優先事項を優先する」と
ほぼ同じように思えますがいかがでしょうか。
また報徳思想では、
自分のことだけを考えている人
(私利私欲≒人心に囚われた生き方をする人)は
物心ともに貧しく、
人のことを考える人
(「人の幸せを願う心≒道心」に適った生き方をする人)
は、結果的に物心ともに豊かになる、と考えます。
これもどこかで聴いたようなお話しですね。

長い目で見れば、
今日の自分しか考えない人は決して豊かになれず、
その一方で私たちの明日の笑顔を考える人は
望まずとも豊かさに恵まれる。
江戸時代でも現代でも、
またそれが農業であっても商売であっても、
たいせつなことはきっと同じです。

今週も幸せの種を蒔きましょう。
私たちの周りにいてくれる大切な人が
幸せであり続けますように。

To be continued…