社長通信(Never Ending Story) vol.18

  • 社長通信

みなさん、こんにちは!
本日も【社長通信】をお届け♪

~やりがいと人間的成長~

「やりがいある仕事を通じて
人間的に成長する」
という考え方があります。
一歩間違えると、
やりがいを口実にした会社都合の
美辞麗句に聞こえなくもありません。
果たしてそんなこと
可能なのでしょうか?

先週ご紹介した「近江商人」や
その行動哲学である「三方よし」の話は
皆さん記憶に新しいでしょう。
彼らは天秤棒を担いで全国を行商する中で、
売り手よし買い手よし世間よしの
三方よしの商いを実践し、
やがて誰からも愛され応援される存在に
なっていきました。
近江商人にルーツを持つ企業は
今でも世界を相手に大活躍しています。
さて、そんな近江商人の家に生まれた少年の
成長を題材にした『てんびんの詩』という
映画があります。
カー用品店イエローハットの創業者である
鍵山秀三郎氏が「私財を投げ打ってでも
伝えたいことがある」と、
その援助のもとに1988年に制作されました。
私はこの映画が大好きで、
はじめて見たときは感動で
涙したのを覚えています。
いまでも毎年4月の新人研修で必ず見ていますし、
見る度に目頭が熱くなります。

舞台は大正末期。
主人公の近藤大作は
滋賀県の五個荘町(ごかしょうちょう)にある
近藤商店の跡取り息子です。
大作少年は、小学校を卒業した日に
父親から天秤棒とたくさんの鍋蓋を渡されます。
「これを売って歩いてこい。
この商売ができないようではお前を
近藤商店の跡取りにはできない。」
「なんでこんなもの売らなあかんの?」
同級生たちが中学校へ進学していく中、
わずか13歳の大作少年は納得が行かないまま、
生まれてはじめての行商に出ていきます。
売り物はどこにでもある、
何の変哲もない鍋の蓋です。
毎日のように近所を売り歩きますが、
まったく売れません。
それでも買ってもらうために
アレヤコレヤと必死に知恵を巡らせます。
中にはいかにも少年らしい悪知恵もありましたが、
やはり一向に売れません。
途中、自分には向いていないと泣き語を言ったり、
お客さんのせいにしたりしてみますが、
やはり一向に売れません。
しかし、商売をする中で
大作少年はたくさんの人に出会い、
その中で揉まれ、
また磨かれ、
次第に人としての成長を遂げていきます…。
詳しくはぜひ原作を見てほしいのですが、
大作少年は商いを通じて
立派に人としての成長を遂げていくのです。

確かにこれは映画であり、
単なる作り話かも知れません。
でも大切なメッセージが込められていると、
私は思います。
売り物は何の変哲もない鍋の蓋です。
近藤商店は大きな商店なので、
鍋蓋以外でもいくらでも売りやすい品物を
取り扱っていたことでしょう。
しかし、お父さんは「あえて」売りにくい
鍋の蓋を売ってくるように命じました。
仮に特別なものを扱うのなら、
売る人の良し悪しとは関係なく
ある程度は自然に売れていくのかも知れません。
また、安売りや投げ売りをすれば、
やはり勝手に売れていくかもしれません。
だからお父さんはあえて
鍋蓋という難しい商材を選ぶことで、
大作少年に「他の誰でもないあなたから買いたい」と
言われる経験をしてほしかったのでしょうし、
また言ってもらえるような人財に
なってほしかったのだと思います。

誰もが働く中で悩み、
もがくものだと思います。
作用反作用の法則はなににでも当てはまります。
いい加減に生きていれば悩みもないし、
逆に本気で生きているほどに、
その悩みや苦しみもまた大きなものになるはずです。
例えば私なら、
物心がつくかつかないころから
「果たして自分に会社経営ができるのか」
という逃げ場のないプレッシャーがあって
悩んだりもがいてきました。
それは30年以上たった今でも
まったく変わりません。
でもだからこそ今の自分がある
とも思っています。

大作少年が多くの人との出会いの中で
悩みもがき、そして成長していったように、
私もたくさんのご縁の中で
磨いていただけたたからこそ、
以前より多少はましな人間になれたかな
と感謝しています。
さて皆さんは仕事を通じて
人間的に成長したと思える瞬間は
どれくらいありますか?

今週も幸せの種を蒔きましょう。
私たちの周りにいてくれる大切な人が
幸せであり続けるように。

To be continued…